by 渡辺天和斎 Information
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2004年 08月 27日
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本の基本情報。比留間弘著、光人社、980円。 本の内容はタイトルそのまんま。入学試験から卒業までのことがだいたい順を追って書かれている。 この本はあまりにも気に入ったので、図書館で何度も借りている。新書ではもう手に入らず、古書価格の方が高いところからもその人気ぶりが伺える。 何度も読みたくなってしまうわけは、著者比留間氏のヘタレぶりにある、 土曜日ごとに熱を出し、「保護生徒」とあだ名をつけられる。梁木から飛び降りるのが怖くてできない。靴を乾かそうとして焦がしてしまう。馬に乗れば「ヒッカケ」られて落馬する。 昔秀才の集まるところとして名高かった、「東大、陸士、海兵」の出身者とは思えない。 ヘタレはヘタレなままに卒業し、ビルマ戦線を生き抜き(地獄の戦場泣きむし士官物語)、戦後の混乱期もしたたかに生きて(泣きむし士官やみいち物語)、自衛隊の草創期を全力で支えた(自衛隊よもやま物語)。 そんな「愛すべき落ちこぼれ」の比留間氏は、いろんな知恵をもって軍隊社会を乗り切っていく。 発熱を「ぼやぼやするな」と責められたら、見た目ドラマチックに担架で運ばれようと工夫する。よそのテーブルのおひつに残ったご飯粒をかき集めておなかいっぱい食べる。消灯後寝付けない戦友のために落語を一席打つ……などなど、その方法と記述はユーモアたっぷりで、思わず比留間生徒を応援したくなってしまう。 比留間氏本人による、へたくそだけど味のある挿絵がまたユーモラス。 古書価格の1300円でも★4つの評価を付けたいおすすめ本だ。
by tenhosai-north
| 2004-08-27 15:42
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