by 渡辺天和斎 Information
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2011年 03月 02日
この記事は、ゲームの台詞を題材に、私が物事を理解するプロセスを考察したものです。
通常の萌え語りやゲームそのものの考察「ではない」ことをあらかじめご了承くださいませ。 ……というわけで本題。 2002年に発売された「サクラ大戦3」。発売直後の初プレイ×5、2006年の再プレイを通しても、ど〜〜〜っっしても理解できなかった台詞が、私にはありました。 それは、第1話、グリシーヌ初登場シーンのこれです。 エリカ「グリシーヌさん、例の……」 グリシーヌ「エリカ。余計ことは言わなくてよい」 ストーリー上特に重要ではないので、初プレイの頃は聞き流してたと思うんですが、なぜかずっと心に引っかかってました。 ヒントらしきものを得たのは、2006年の再プレイ後に、OVA「エコール・ド・巴里」のムックを読み直してのことでした。 「エコール・ド・巴里」は、巴里華撃団の結成〜大神一郎隊長が配属されて部隊がまとまるまでを、ゲーム本編で語られた部分を除いて描いた作品です。 ムックでは、ゲーム第1話の、大神着任直前の状況が明らかになっていました。 それを、大神・エリカ・グリシーヌの各視点で整理してみると…… 大神:巴里華撃団の存在も、エリカとグリシーヌが華撃団の隊員であることも、自分が隊長になることも知らなかった エリカ:自分とグリシーヌが巴里華撃団の隊員であることは隠さなければいけない。日本から隊長が来ることは知っていた。大神がその隊長であると気づいていた可能性がある(根拠:雨宿り時の会話)。 グリシーヌ:自分とエリカが巴里華撃団の隊員であることは隠さなければいけない。日本から隊長が来ることは知っていたが、大神がその隊長であるとは思っていなかった。 ということになるようです。 先ほどの台詞に、その状況が分かるような補足を入れると…… エリカ「グリシーヌさん、(日本から隊長が来るという)例の……(件があるので、大神さんに参考までに話を聞いてました)」(と、グリシーヌに言っている) グリシーヌ「エリカ。(巴里華撃団のことは機密だから)余計ことは言わなくてよい」(と、エリカに言っている) ということになりましょうか。 ……この状況、一発で分かりました? たぶん、分かった人はすぐに分かったでしょうし、そうでなくても、多くは二人が巴里華撃団のことを大神に隠していたことがはっきりした時点で、この意味深な会話の背景に気づいたと思います。 ところが、私はまったく理解することができませんでした。二人が巴里華撃団について隠していたことと、この会話が、うまく頭の中で結びついていなかったんです。 そうか〜、この3人の状況の違いが、私には見えてなかったんだな〜。で終わればすむ話だったんですが。それを越えて今の今まで腑に落ちてなかったからには、他にも何らかの要素があったはずなんですね。 では、私が見落としていた他の要素とは何か。 「プレイヤーである私の視点」でした。 つまり…… プレイヤー:エリカとグリシーヌが巴里華撃団のことを大神に隠していることも、大神がいずれその隊長になることを現時点で知らないだけということも知っている。 通常、プレイヤーは自分=主人公の視点でゲーム世界を見ているわけですが、プレイヤーが知ってることと主人公がその時点で知っていることが一致しない場合が、往々にしてあります。 サクラ大戦シリーズの第1話なんか、まさにそれがお約束ですよね。 プレイヤーは主人公が隊長となって部隊を率いていくというのをあらかじめ分かった上で、「歌劇団=華撃団」という真相を知らされないまま右往左往する彼の姿を、ハラハラあるいはニヨニヨしながら眺めるってのが大前提。主人公が隊長であることを知らされた時の高揚感こそ、第1話の山場と言っていいくらいだと思います。 私は、このプレイヤーとしての知識と主人公の知識のギャップに気づいてなかったがために、件の台詞に対して違和感を覚えていたんですね。納得納得。 ところで、これまでプレイしてきた本編5作品の中で、そういう混乱を起こしたのは3だけです。 では、なぜ3のときだけこんなに混乱してしまったのでしょう? プレイ順に導入部分と初プレイ時の状況を振り返ってみます。 2:最初から米田司令に「花組の隊長に再赴任」という情報が与えられていたし、私にも予備知識がなかった 1:2クリア直後で、「大神と花組の過去を知る」というプレイ目的がはっきりしていたし、花小路伯爵から「特殊部隊隊長としての任務」という情報が与えられていた 3:(前述までの理由に加えて)ライラック邸のパーティーで状況に巻き込まれるまで、大神が華撃団の隊長として渡仏したことを明示する言語情報がなかった 4:そもそも導入部が華撃団としての出動から始まってる V:隊長どころか隊員としてすら認めてもらえない状況からのスタートで、疑問を挟む余地もなかった まず一つ、私が物事を理解する上で重要なポイントがあります。それは…… 言語情報を最重要視しているということ。 もう一つ、私の中に根付いている「ある前提」が浮かびあってきました。自分が物語を作る立場では、特に強く意識していることです。 それは、「作品を理解するために必要な情報は、すべて作品内で提示されていなければならない」ということ。 この、二次創作を書く上では必ずしも必須とはいえないポリシー(要するに、無駄なこだわり)が、作品をありのままに楽しむときの足枷になってしまっていたようです。 今でこそ、考証やリアリティを追求したり、原作知識のない人にも分かってもらえるように書くってポリシーが、単なる「個人的な好みの問題」だと理解していますが。 つい最近まで、そのことに気づかずいろいろしんどい思いをしたりさせたりしておりました。被害に遭わせてしまった方には、この場を借りて改めてお詫び申し上げます。生意気言ってごめんなさい。 ここまでを、小説書き視点でやや強引にライフハック風箇条書き化すると…… 1:作品内での主人公の知識と読者の知識のギャップは、序盤では少ない方がいいよね 2:作品を理解するために必要な情報は、作中で必要に応じて出してやらないと、読者を混乱させるリスクがあるよね 3:たとえシリーズ何作目になろうと、野暮を承知でお約束を説明し、なおかつその上でお約束と言い切る潔さって魅力的 ……などと、広井氏の前説を思い出しながらぼんやりと考えてみました。
by tenhosai-north
| 2011-03-02 05:38
| サクラ語り
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